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==言葉としての「AVTuber」の起源とジャンル定義語への変化== ===起源=== AVTuberの歴史は上述のとおりであるが、言葉としての「AVTuber」は2018年頃には[[Twitter]]上で自然発生的に使われていた形跡がある<ref>[https://x.com/mina_rio/status/1066267544510640128]や[https://x.com/aki3lico/status/1066330031650000896]など。</ref>。そして「AVTuber」の言葉のまとまった使用量での初出は、2018年2月14日にYouTubeに投稿された、ハロクリ所属企業系Vtuber・響木アオの自己紹介動画[https://www.youtube.com/watch?v=a9BSCLGn2RM 【自己紹介】響木アオです♡]のコメント欄および同動画に言及したいくつかのツイートだと推測される<ref>この日以前のTwitterでは、同年1月26日のツイート[https://x.com/NuCode/status/956759309576126464]や同年2月4日のリプライ[https://x.com/uennyom/status/960069124607979521]が単発的に存在する。</ref>。 なお、AVTuberではない響木アオの動画が起源となった理由は、この動画が'''「新人デビューしたセクシー女優へのインタビューシーン」そのままのフォーマット'''で作られていたためだと思われる。 ただいずれにしても、2020年2月以前の「AVTuber」は半ばネタ的、ダジャレ的なニュアンスのものであり、ジャンル定義語としての意味はほとんど持ち得ていなかった。 ===ジャンル定義語への変化=== 2020年2月に柚木凛およびえもえちプロダクションがAVTuberを自称したことで状況は一変する。当初はえもえちプロダクション所属VTuberを表す言葉だった「AVTuber」は、えもえちプロダクションの影響力もあって徐々に界隈全体に広がっていき、遅くとも2022年ごろには「性的配信を行うVTuber全体を指し示す言葉」としてジャンル定義語へ変化していたと思われる。その根拠として、以下の事実が挙げられる。 *2022年6月の[[colorful magic]]炎上事件の際、「業界初のAVtuber挑戦」と宣言したcolorful magic運営に対し「既にAVTuberとして活動している個人やグループは多数存在する」との指摘は多く寄せられたが、「AVTuberとは一体何か?」といった疑問や「AVTuberとはえもえちプロダクション所属VTuberのことである」との主張は殆ど見られなかった<ref>「えもえちプロダクションのほうが先行している」との指摘は寄せられている。</ref>。 *2022年11月にAVTuberどエロライフ(現・[[えぶメディ]])がサービスを開始した際、その名称に特段の疑問は持たれなかった。 ===なぜジャンル定義語として定着したか=== 他に存在した「アダルトVTuber」「セクシー系VTuber」「エロVTuber」といった言葉ではなく「AVTuber」がジャンル定義語として定着した理由は、いくつかの複合的な要因が考えられる。 '''【言語学的な要因】'''<br> 「AVTuber」という語句には以下のような特徴があり、類似名称と比較して選好されやすい性質を持っていたと考えられる。 *'''造語構造の柔軟性(生産性):'''「VTuber」は「V(Virtual)」+「Tuber(YouTuberの後半)」からなる複合語だが、この構造は前半(接頭辞的要素)を差し替えるだけで新しい概念を生み出しやすい「生産性」の高い型である<ref>本来「Tuber」はYouTubeを前提とするが、2019年頃からプラットフォームを問わず「配信者一般」を指す記号へと変質が始まっており、これが「AVTuber」という派生語の成立を後押しした。</ref>。 *'''音韻的結合(オーバーラップ):''' 「AV」と「VTuber」は共通して「V」の音を核としている。この共通音を重ねることで、二つの語が滑らかに連結し、一つの単語として高い発音性(構音のしやすさ)と記憶の定着率を実現している。 *'''記号としての抽象化:''' 「エロ」や「アダルト」といった直接的な語と比較し、アルファベット2文字の「AV」は、成人向け映像コンテンツという広大な概念を短縮・記号化する力が極めて強い。この抽象化が、露骨さを避けつつ意味を即座に伝える緩衝材として機能した。 *'''重層的な語源(ダブル・ミーニング):''' 「Adult VTuber」の略称とも、「AV(アダルトビデオ)的要素を持つVTuber」とも解釈可能である。この意味の広がりが、同人AV、ASMR、シチュエーションボイスなど、多様な背景を持つ活動者たちの受け皿となった。 *'''リズムと音節:''' 「A・V・Tu・ber」は日本語の開音節構造に馴染みやすく、4拍のリズムは小気味よく響くため、口語としての定着を早めた。 '''【AVTuber史的な要因】'''<br> 2020年当時の界隈を取り巻く状況が、呼称の固定化に大きく寄与したと考えられる。 *'''「命名の真空状態」の存在:''' 2020年1月以前、先駆者である万楽えねやポータルプロ等は、特定のジャンル名を固定するよりも個別の活動スタイルを重視していた。ジャンル全体を統括する「旗印」となる言葉が不在の、いわば「命名の真空状態」にあった。 *'''えもえちプロダクションによる定義の固定化:''' 史上初の(企業系)AVTuber事務所として登場したえもえちプロダクションが、自らのアイデンティティとして「AVTuber」を大々的に掲げた。成人向けメディアやネットニュース<ref>[https://www.excite.co.jp/news/article/E1587633926106/ 業界初の“AVTuber” 柚木凛とプロデューサーが語る「VTuber×エロ」の裏側]など。</ref>を通じた高い拡散力により、同プロダクションの定義がデファクトスタンダードとして、先駆者たちの土壌の上に定着した。 ===「Adult + VTuber」か「AV + VTuber」か=== 上述のように、「AVTuber」という言葉は「'''Adult VTuberの略称'''」としても、「'''AV(アダルトビデオ)的要素を持つVTuber'''」としても解釈可能な二重性を持つ。2026年現在のAVTuberの活動実態と照らし合わせた場合はどちらの解釈でも大きな齟齬は生じないが、「'''Adult(成人向け表現全般を扱う)VTuber'''」と解釈した方が、より広範な活動実態を包摂できる。 しかし、2018年から2020年にかけてのAVTuber黎明期においては、 *[[響木アオ]]の自己紹介動画が「AVパロディ」的な演出だったことから「AVTuber」がミーム化した(2018年2月)。 *[[えもえちプロダクション]]が公開した「AVtuberプロダクション設立のご挨拶」において、自らを「AVプロダクション」と説明した(2020年2月)。 などの事例のように、明確に「AVTuber = AV + VTuber」という解釈が主流だった。 現在のように「Adult + VTuber」という解釈が広がってきたのは、AVTuberの活動内容が多様化し、「AV + VTuber」という狭義の解釈だけでは実態を十分に反映できなくなったためである。つまり、AVTuberの活動多様化が、言葉自体の解釈の重層化を促したと言える。
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